昨年の最初に,「新しい年を,背水の陣で迎える」というタイトルのエントリを書きました.そのなかで「2010年はこれから自分は何をしたいのか・すべきなのかを真剣に考える年になりそうです.」「今年は専門家としての自分のアイデンティティを確立することを目標にしたいと思います.」と書いたのですが,宣言通り昨年は,これから自分は何をしたいのか・すべきなのかを考え,そして自分のアイデンティティを見つけるためにいろいろな可能性に挑戦した年でした.
1~4月まではGCOE・PEM関連の企画の主催・お手伝いをいくつかこなしました.特に,オーガナイザーとして参加した環境機関コンソーシアム交流会では,準備の過程で多くの方に迷惑をかけ・助けてもらうことを通じて,いろいろ成長することができたかなと思っています.オーガナイザーとしては及第点には程遠かったと思いますが,イベント自体は何とか無事に終わらせることができました.また,4月には日本森林学会大会にて国際ワークショップをひとつ企画しました.これもはじめての挑戦でいろいろ大変だったのですが,国際センスをみがくうえでとてもいい経験になりました.
5~8月はD論の解析と論文書きに熱中していました.もともとほとんどのネタは学会で発表してたので,あとは図を書きなおして論文を書くだけだと思っていたのですが,論文を書くために改めて勉強してみると,これまでの解析のマズイところなどがたくさん見つかり,結局最初から解析をやり直すことになりました.また,7月に偶然,東京大学の岸野先生に論文を見ていただく機会があり,これまでほぼ独学でやってきたデータ解析のマズイところなどを丁寧に指導していただきました.査読の結果はまだ帰ってきていないのですが,何としてでもいいところに載せたいものです.
9~11月はPEMの一環としてイタリア・ローマの国際NGO「Bioversity International」でインターンシップをやってきました.仕事内容はFAOが2013年に発行する予定のレポート「State of the World's Forest Genetic Resources」のバックグラウンドとなるレビュー論文を執筆するプロジェクトのマネジメントと文献調査・プロポーザル書きなどです.幸いにもスーパーバイザーにめぐまれ,楽しく仕事をすることができました.また,多様なバックグラウンドをもった人たちがいる国際組織で働いてみて,組織マネジメントのやり方や同世代の人たちのキャリアに対する価値観など,目からウロコなことがたくさんありました.
また,夏から秋にかけて,来年度からの働き場所を探しはじめ,幸運にも最初に応募した研究機関で常勤の研究員として採用していただけることになりました.来年度からは,これまでの専門だった森林生態・保全遺伝だけでなく,生物多様性に関係する幅広い課題を扱うことになりそうです.これまでよりも環境マネジメントの現場に近いところで仕事をすることになるので,PEMで培ってきた経験が生かせればと思っています.
年末にはもう一つ,大きな決断をしました.これについては,今年の終わりくらいにでもここでご報告できればと思っています.
というわけで,昨年は自分自身の視野・能力・アイデンティティなどにとても大きな変化があった年でした.今年はそれらを少しずつ形にしていく年にできればと思っています.