ラベル GCOE の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル GCOE の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2011年1月1日土曜日

新しいことを形にしていく年に

昨年の最初に,「新しい年を,背水の陣で迎える」というタイトルのエントリを書きました.そのなかで「2010年はこれから自分は何をしたいのか・すべきなのかを真剣に考える年になりそうです.」「今年は専門家としての自分のアイデンティティを確立することを目標にしたいと思います.」と書いたのですが,宣言通り昨年は,これから自分は何をしたいのか・すべきなのかを考え,そして自分のアイデンティティを見つけるためにいろいろな可能性に挑戦した年でした.

1~4月まではGCOE・PEM関連の企画の主催・お手伝いをいくつかこなしました.特に,オーガナイザーとして参加した環境機関コンソーシアム交流会では,準備の過程で多くの方に迷惑をかけ・助けてもらうことを通じて,いろいろ成長することができたかなと思っています.オーガナイザーとしては及第点には程遠かったと思いますが,イベント自体は何とか無事に終わらせることができました.また,4月には日本森林学会大会にて国際ワークショップをひとつ企画しました.これもはじめての挑戦でいろいろ大変だったのですが,国際センスをみがくうえでとてもいい経験になりました.

5~8月はD論の解析と論文書きに熱中していました.もともとほとんどのネタは学会で発表してたので,あとは図を書きなおして論文を書くだけだと思っていたのですが,論文を書くために改めて勉強してみると,これまでの解析のマズイところなどがたくさん見つかり,結局最初から解析をやり直すことになりました.また,7月に偶然,東京大学の岸野先生に論文を見ていただく機会があり,これまでほぼ独学でやってきたデータ解析のマズイところなどを丁寧に指導していただきました.査読の結果はまだ帰ってきていないのですが,何としてでもいいところに載せたいものです.

9~11月はPEMの一環としてイタリア・ローマの国際NGO「Bioversity International」でインターンシップをやってきました.仕事内容はFAOが2013年に発行する予定のレポート「State of the World's Forest Genetic Resources」のバックグラウンドとなるレビュー論文を執筆するプロジェクトのマネジメントと文献調査・プロポーザル書きなどです.幸いにもスーパーバイザーにめぐまれ,楽しく仕事をすることができました.また,多様なバックグラウンドをもった人たちがいる国際組織で働いてみて,組織マネジメントのやり方や同世代の人たちのキャリアに対する価値観など,目からウロコなことがたくさんありました.

また,夏から秋にかけて,来年度からの働き場所を探しはじめ,幸運にも最初に応募した研究機関で常勤の研究員として採用していただけることになりました.来年度からは,これまでの専門だった森林生態・保全遺伝だけでなく,生物多様性に関係する幅広い課題を扱うことになりそうです.これまでよりも環境マネジメントの現場に近いところで仕事をすることになるので,PEMで培ってきた経験が生かせればと思っています.

年末にはもう一つ,大きな決断をしました.これについては,今年の終わりくらいにでもここでご報告できればと思っています.

というわけで,昨年は自分自身の視野・能力・アイデンティティなどにとても大きな変化があった年でした.今年はそれらを少しずつ形にしていく年にできればと思っています.

2010年3月6日土曜日

ターニングポイント「を」生きる

昨日は,仙台で東北大学生態適応GCOE「環境機関コンソーシアム」定例会がありました.企業・NGO/NPO・教員・学生あわせてのべ100名近い人が参加して,講演会・研究発表や環境機関コンソーシアムの今後の方向性などについて話し合いなどがありました.いずれの企画もとても盛況でした.また,私はこの企画をお手伝いさせていただいたのですが,いろいろ大変だったので,無事に終わってホッとしています.

講演会では,NPO法人「田んぼ」理事長の岩渕成紀さんとThink the Earthプロジェクトプロデューサーの上田壮一さんから,それぞれ刺激的な講演がありました.岩渕さんからは田んぼの生物多様性・ラムサール条約水田決議・水田文化の多様性・有機農法・環境教育など,田んぼのさまざまな側面についてお話をいただきました.特に生物多様性や有機農法に関連したお話については,ご自身の活動のなかでかなりのデータを収集されているようで,それらに裏打ちされたお話はとても説得力のあるものでした.

上田さんからは,「ソーシャルクリエイティブの可能性」という題で「伝えること」によって世の中をよくしていこうという一連の取り組みなどを紹介していただきました.「伝えること」を生業としているだけあって上田さんのお話は胸に残るものが多かったのですが,その中でも特に印象に残ったのが,「創造性は何のためにあるのか」という言葉でした.ただモノを作るだけでなく,そこに「創造性」を加えることで,今までとまったく違った価値を持ったものができる.そして,それによって周りの人間が幸せになれる.

物質的・経済的な側面に加えて社会や人間の福利など,モノの価値は多様化しています.いわばタイトルに引用した上田さんの言葉のとおり,私たちは「ターニングポイントを生きている」のです.そのなかで,自分の「創造性」を何のために使うのかということは,あるいはターニングポイントを生きる私たちが改めて考えてみなければいけないのかも知れません.

講演会ではゲストに圧倒されてしまった感はあったのですが,研究発表もかなり盛況でした.外部の人に聞いてもらうだけでなく,これまであまり交流がなかった内部の学生同士のあいだでも議論が盛りあがったようで,オーガナイザー冥利につきます.ちなみに,今回のイベントではアカデミアと企業・NGO/NPOのそれぞれの参加者に面白かったポスターに投票してもらい,もっとも多くのポイントを獲得した人にポスター賞と賞品を贈りました.受賞された方,おめでとうございます.私もポスターに参加すればよかったです.

イベントが終わってから夜行バスで東京に行き,今日は成田空港からクアラルンプールまで来ました.約半年ぶりのマレーシアは相変わらず熱いです.熱帯です.荷物を持って少し歩くだけで汗がダラダラでてくるのですが,その分だけビールが美味しかったです.明日は夕方まで自由時間なので,ちょっとだけ市内を観光してこようと思います.

2010年2月24日水曜日

国際フォーラムに参加してきた

21日から24日まで,GCOE主催の国際フォーラム「Ecosytem Management Applying to Ecosystem Adaptability Science」に参加してきました.今回は一応,招待講演者・GCOE関係者とポスター発表に応募してくれた少数の研究者に参加者を限定した非公開のイベントということで内容の詳細は書かないことにしますが,このフォーラムのテーマに関連した分野の最先端をいく刺激的な話が続いて,とても有意義な時間を過ごすことができました.

今回のフォーラムの特徴は,招待講演者もオーガナイザーも若手研究者が中心だったことです.おそらく,招待講演者の大半はポスドクかAssistant Professorだったと思います.それにもかかわらず,発表内容や議論のレベルはきわめて高く,大いに刺激を受けました.ただ,慣れない英語と自分があまりフォローしていない分野の発表が多かったせいで,マトモな質問を思いつけなかったが残念でした.

また,国内からの若手の参加者ともいろいろ話をして,自分が研究に対するモチベーションや自分自身に対する自信を失っていたこと,その結果としてどんどん同年代のトップからおいていかれていることを改めて思い知らされました.もう少し気合を入れて研究に取り組まなければと,気持ちを新たにしました.

シンポジウムが終わったあとは松島にエクスカーションに行き,さらに招待講演者の一組を連れて鳴子温泉に行きました.時差ボケで眠そうでしたが,それでもいろいろお話ができたことは大きな収穫でした.声をかけてくださった方々に感謝です.

2010年1月7日木曜日

翻訳はむずかしい

昨年11月のPEM講義をきっかけに,国際環境NGOのThe Natural Stepが提供している教材の日本語版をつくるプロジェクトが,生態適応GCOEに参加している学生を中心に先月から進められています.私もテキストの翻訳をお手伝いしているのですが,これがなかなか大変で手こずっています.

作業のながれとしては,まず12,000語くらいの英語の文章を10人くらいで分担して下訳を作ってもらって,それを私がまとめて日本語の体裁を整えるという具合です.当初は下訳があれば体裁を整える作業なんて簡単だろうと思っていたのですが,人によって日本語の書き方がバラバラだったりたまに誤訳があったりして,2日かけてまだ全体の41%しか終わっていません.最初の15%は私がつくった見本訳なので,実質的には31%しか終わってないことになります.

プロジェクトリーダーから言われている締切は8日なのですが,このペースだと若干締切に間に合わない可能性がでてきました.マズイです.

こういう仕事をしてみると,プロの翻訳家の方々はすごいなぁと改めて感心します.英語力はもちろんですが,日本語で文章を書く能力も必要ですし,何よりも対象となる分野に関してそれなりの知識がないと翻訳の仕事はできません.私がいま訳している環境系の分野だと,アル・ゴアの不都合な真実を翻訳された枝廣淳子さんという方が有名なのですが,翻訳の質がすばらしいだけでなく,持続可能性・地球温暖化・生物多様性などに関して非常に幅広い活躍をされています.やはりそれだけ多彩なバックグラウンドがあってこそ,いい仕事ができるのでしょうね.

ちなみに今回の作業では,Google翻訳者ツールキットという,ウェブベースのツールを使っています.原文と訳文をハイライトして対比しながら翻訳できるほか,機械翻訳が下訳をやってくれたり,辞書や自分で定義した単語集を翻訳中に参照することもできます.過去に誰かが全く同じ文章を訳していれば,その訳も表示してくれるようです.しかも,Googleドキュメントのように何人かで同時に同じ文章を編集することもできます.

多くの人にとって実際,翻訳の仕事をすることはあまりないとは思いますが,もし機会があればぜひ試してみてください.

2009年12月24日木曜日

里山・里海って・・・?

しばらく更新が滞っていました.21~23日までの3日間は,仙台で開催された日本における里山・里海のサブ・グローバル評価(里山里海SGA)の会議を,生態適応GCOEのツテで手伝わせてもらいました.

里山里海SGAとは,国連が提唱して2001~2005年に行われたミレニアム生態系評価(MA)の続きとして,日本の里山・里海を対象に生物多様性と生態系サービスの評価を行おうという計画で,2010年10月に名古屋で行われる生物多様性条約COP10での公表が予定されています.

手伝い人の私がこの会議の内容に言及するのはあまりよくないので,差し障りのない範囲で感想を述べたいと思います.

SGAは基本的にMA-SGAの枠組みを踏襲するので,この報告書では里山・里海の現状と傾向・対応の評価・将来のシナリオの,大きく分けて3つの要素について評価が行われる予定です.来年のCBD/COP10でのレポートの公表を控えているということで今回の会議では,これまでに国レベルの専門家が評価した結果とその枠組について,議論が行われました.里山・里海の現状と傾向の部分ではさらに,里山・里海の定義・生態系サービスの変化の現状と要因…などなどについて,かなり突っ込んだ議論が行われました.

この会議の議論をずっと聞いていて思い浮かんだのが,里山・里海って何なのだろうという素朴な疑問です.「里山」という単語をから私が思い浮かべるのは,新潟(特に上・中越地方)の山村地域のような,タケノコ・山菜が採れる山があって,田んぼがあって,あまり大きくない川があって,池があって…,というイメージです.これがいわば,私のなかの「里山」の原風景なのでしょう.一方,「里海」というのは聞き慣れない言葉ですが,強いてあげるとすれば磯とか小さな漁村とかがあるような風景でしょうか.具体的には,新潟の山北町の海岸線のイメージですね.

ところが,様々な議論を聞くなかで,人間が関わっているという点では共通しているものの,空間的な広がり・そこに含まれる要素・機能など,里山・里海の定義・解釈がきわめて多様であるということに驚きました.最終的にここで議論された結果がどう位置づけられていくかは,来年10月のCBD/COP10以降です.今後も注目していきたいと思います.

もう一つ興味深かったのが,里山里海SGAをどうやって日本国外に向けて発信していくかという議論でした.これについても目からウロコな重要な議論がいくつもありました.これもやはり,CBD/COP10以降の動向が気になります.

3日間の会議の半分くらいは,各章ごとに執筆者と関係者の分科会が行われました.私もとある分科会をお手伝いしつつ議論を聞いていたのですが,なかなか楽しい議論でした.この議論を踏まえて最終的に発行されるレポートがどうなるか,楽しみです.

まだまだ書きたいことがたくさんあるのですが,それらは来年10月のCBD/COP10までのお楽しみ,ということで.

会議が終わった後は,この会議に共同議長・専門家として国連環境計画(UNEP)から来られた2人のゲストを連れて,鳴子温泉に行きました.ここでもいろいろ興味深い話を聞かせてもらいました.話の内容と英語についていくのが大変だったのですが,いい経験をさせてもらいました.

2009年11月12日木曜日

動的なネットワークと価値の創造,そして連鎖へ

先週末に行われたPEM講義「ソーシャル・レスポンシビリティ学II」の報告のつづきです.

今回の講義には,国内のNPOを代表してアサザ基金代表の飯島博さんが来てくださいました.市民による自然再生の先駆的な事例として有名な霞ヶ浦・北浦アサザプロジェクトをはじめ,アサザ基金は多くの市民参加型運動を展開しています.講義やその後の議論ではこれらの事例にくわえて,「働きかけ」によるネットワークの創造といったアプローチの話からNPO・研究者のあるべき姿に至るまで,とても刺激的な議論が続きました.

この話題についてはPEM一期生のエース:吉野元さんもブログに書いてますので,そちらもあわせて読んでもらえればと思います(http://nocchi39.blog38.fc2.com/blog-entry-227.html).

アサザ基金のアプローチの特徴は,市民が主体のネットワークに様々な立場の組織や人を巻き込み,そこで形成された「場」のなかで課題に取り組んでいくことにあります.一般的なプロジェクトと同じく自然保護の現場においても,まず中心となる組織(行政など)が全体的な課題と具体的な指針を設定して,それにしたがって各人が行動するということが普通だと思います.

それに対してネットワーク型のアプローチでは,中心となる組織やあらかじめ決められた課題は大きな意味を持ちません.その代わりに,ネットワークに参加する人たちが個別の課題へ取り組んでいくことによって新しい価値やつながりが生まれ,次の課題が生まれていきます.このようにネットワークが動的に成長することによって総合化が起こり,全体が動いていくわけです.

では,どうやったら動的に成長していくネットワークを展開できるのでしょうか.飯島さんによれば,そのカギは「価値」「意味」であるとのことです.ネットワークが機能していくためには常に「動き」「流れ」があることが必要なのですが,あらかじめ決められた「課題」のために組織化されたネットワークはやがて硬直化して機能しなくなります.ところが「価値」「意味」を通じてつながっているネットワークはそれによって様々な人や組織とつながり,そこからまた新しい「価値」「意味」が生まれます.このような「良き出会いの連鎖」によって動的に成長していくネットワークが展開されるのです.

講義では小中学校の環境学習を契機に地域のネットワークを立ち上げていった事例をいくつか紹介していただきました.なかでも,霞ヶ浦・北浦アサザプロジェクトはこれまでに200以上の学校・企業・自治体などが参加する壮大な地域ネットワークへと成長していきました.このような成功事例が他の地域にも波及していってほしいものです.

ただ,そこに「価値」「意味」があったとしても,動的に成長していくネットワークを立ち上げて機能させるためには,何かしらの“力”が必要なはずです.私は飯島さん自身が培ってきた価値観や動き方にその“力”を感じました.ネットワークは「共同体」ではなく,「違い」や多様性を飲み込みながら拡がっていくものです.そのためには「異質なものを否定しない」「膨大な多次元の世界へ入る」「壁を溶かす」といった行動ができる価値観と“勇気”が必要でしょう.

制度や利益のしばりを受けにくいNPOは本来,つながりを作っていくための「触媒」であるべきだと,飯島さんは言います.多くのNPOが行政の下請けや補完をしている現状は,「触媒」とはほど遠いものかも知れません.これを変えていくためには,まず「良き出会い」が必要でしょう.行政やNPO自身の価値観や内輪のつながりにとどまることなく,他者との出会いを通じて多様な価値観を受け入れていくことが第一歩であると思います.

保全や問題解決に携わる研究者自身もネットワークの中でどう振る舞うかを考えなければなりません.飯島さんは「精神なき専門人」という警句をもってして,トップダウン的な仕組み作りに向かう研究者を批判していました.この批判は部分的には当たっていると思います.研究者自身が地域とのつながりのなかで新しい「価値」「意味」を創造できるか,あるいは地域の中で研究者がどう位置付けられて機能していくのかを改めて考えてみなければいけないと感じました.

--
ところでこの文章,今日の未明から書き始めて夕方にようやく公開することができました.ここまで時間がかかったのは,私の語彙力・文才の無さを差し置いて言えば,「市民参加の動的ネットワーク」という“定まった実態がないもの”について表現することの難しさのせいでしょう.最後にとりあげた研究者自身への課題は,この“定まった実態のないもの”と自身との関係を考えることであると言えます.これを真剣に考えることは,あるいはとても困難なものになるのかも知れません.そこに踏み込む“勇気”があるか,「応用科学」を少しでも標榜している生態学研究者は考えたほうがいいのかも知れません.

2009年11月10日火曜日

持続可能な社会と後ろ向きな問題解決

この週末は生態適応GCOEの人材育成プログラムの一環として,ソーシャル・レスポンシビリティ学IIの講義を仙台で受けてきました.

企業の社会的責任(CSR: Cooperate Social Responsibility)に代表される,社会的“責任”(SR: Socal Resonsibility)とは,「自らと社会・地球環境の関わりを認識し,真に持続可能な社会を作り上げるための活動」を意味しています.今回の講義では,持続可能な社会をどう構築していくかという点について,受講者を交えて興味深い議論が行われたので,その様子を紹介したいと思います.

今回の講義では事前に,国際NGOのThe Natural Stepが開発した持続可能な社会の構築に関するe-learningを行いました.内容は,現状の認識とナチュラルステップが提唱してきた持続可能性の具体的な定義と持続可能性な社会を構築するためのストラテジー,そしてそれを実際に実現した例などです.

ナチュラルステップでは持続可能なシステムを4つの条件によって定義しています.(訳は富田)

  1. 地殻から掘り出した物質(化石燃料・重金属・リン鉱石など)の濃度が増加しないこと
  2. 人間活動に由来する化学物質の濃度が増加しないこと
  3. 自然が人間活動によって劣化させないこと
  4. すべての人が平等に生態系サービスの恩恵を受けられること

これをもとに,将来あるべき状態をまず先に設定し,そこから後ろを振り返ってストラテジーを立てるのが,「バックキャスティング」と呼ばれる考え方です.e-learningではこれらの考え方とその実例を演習問題付きでとても丁寧に説明されていました.また講義では,ナチュラルステップ・ジャパン代表の高見幸子さんが講師として来てくださり,スウェーデンの企業・自治体がバックキャスティングによって持続可能な社会をデザインしてきた実例を紹介していただきました.

ナチュラルステップのアプローチが優れている点は,バックキャスティングという目標設定型のアプローチを取り入れていることよりは,むしろその目標の頑健性にあると思います.

目標が頑健であることは特に,このアプローチが成功するために重要な意味を持っています.目標設定型のアプローチの失敗例として分かりやすいのが,民主党政権になって見直しが進められている一部の公共事業です.公共事業ではあらかじめ,道路の交通量や人口の増加と水需要といった将来の目標を設定したうえで,それを満たすように事業計画を立てます.しかし,それが満たされないと費用対効果の面でその事業は失敗します.環境対策においても同様に,想定外の要因や見積もりの甘さなど,目標の設定ミスによって事業が失敗する例があると思います.

先に述べた4つの原則のうちの最初の3つは,物質循環・生物の代謝・生態系機能の本来あるべき姿を超えないこというとても単純な根拠に基づいて設定されているため,幅広い問題に対して適応が可能で,かつ頑健であると言えます.保全や自然科学に取り組んでいる人ならあるいは,これよりも達成が簡単でより有効な原則を提示することができるかも知れません.しかし,この4つの原則は最善ではないにせよ,状況がどうなってもその意義はほとんど変わりません.

このアプローチは社会システム全体の大きな転換を図るときに特に有効だと,高見さんは考えているようです.大規模な規制や仕組みの転換には,非常に大きな労力と事業間の一貫性が求められることがその理由です.確かにこれは正しいと思います.しかし,目標とストラテジーの設定・実行においては,問題に関わるすべてのステークホルダーが議論し合意することが不可欠です.ナチュラルステップ発祥の地であるスウェーデンでこのアプローチが成功している理由は,スウェーデンの民主主義がとても成熟しており,徹底した情報公開と国民参画の仕組みが出来上がっているからです.

では,日本ではどうでしょうか.今回のPEM講義には前山形県鶴岡市議の草島進一さんが地方自治体で政策に関わってきた立場から講演をしてくださいました.

草島さんはもともと水環境問題から持続可能な社会の構築に興味を持たれたということで,鶴岡市議になる前は,ダム建設の反対運動をやっていたそうです.流域においてダム建設や河川改修のような大規模な事業を行う際には,流域委員会という委員会が設置されて住民や専門家が事業の是非や手法について議論を行うことになっています.ところが実際は,中立的なファシリテーターがいないために国土交通省のシナリオどおり有効な議論がされないまま事業が進められてしまうことがしばしばあるようです.また実際の事業においても,不正確な需要予測にもとづく事業計画がそのまま遂行され,結果として大きなムダや生態系サービスの劣化を招くことがよくあります.

すなわち,地方自治体の事業には目標の設定における議論と合意形成がなく,そもそも頑健な目標を設定するための基準すらないのです.

草島さんはここで,ナチュラルステップの基準を用いて持続可能な社会の構築を議論してこようとしました.保守の地盤が強い鶴岡市で草の根的に活動を展開することは大変なことだったと思います.残念ながら,先月行われた市長選挙に挑戦して落選されたということですが,今後のご活躍に期待したいと思います.

2009年10月23日金曜日

やることが・・・

今月に入ってから,仕事の量が増えてきました.その多くは夏ごろから予想していたものだったのですが,いざいろいろな種類の仕事が一度にやってくると,何から手をつけてよいのか分からなくなってしまいます.時間管理というのはむずかしいですね.

とりあえず先週は,研究室セミナーの準備,もろもろの打ち合わせ,それにマレーシア実習のレポート書きで終わってしまいました.実習のレポートについては,当初はブログに実習レポートの下書きを書いておいて,それをコピペして提出しようと思っていました.ところが,ブログを書く段階でかなりの時間を使ってしまったので,結局週末に追いつめられて書くハメになってしまいました.そのせいで,グループワークのレポートを他の人に校閲してもらう時間がなくなってしまったのは申し訳なかったです.

個人のレポートについては,加筆・修正したうえで近いうちにここで公開したいと思います.

今週は,来週の木曜日に統計数理研究所で開かれる研究集会の準備を主にやっています.当初はせいぜい10人くらいのこじんまりとした集まりだと思っていたのですが,送られてきた案内をみるとなんと30人以上の方が来られるようです.聴衆の専門分野も遺伝・進化・生理・生態からモデリング・統計数理まで幅広いので,どういう話をしたらいいものか,よいイメージが浮かびません.準備に使える時間はあと3日なので,明日からは集中して取り組みたいと思います.

それに加えて,来年3月に行われる生態適応GCOEの環境機関コンソーシアム定例会に付随して行われる,RAポスターセッション+キャリアパスイベントの準備にも取りかかりました.“上”の意向でこのイベントの一部をGCOEのRAが企画することになったので,その立ち上げを私が担当しています.先週は,仙台で“上”と事前打ち合わせしたうえで,RA実行委員候補への呼びかけを行いました.来週の水曜日には,RA実行委員会のキックオフミーティングを行う予定です.

今日は,来週のキックオフミーティングのアジェンダの素案を作って,“上”と一部のRAに送りました.来週の月曜にはすべての参加者にアジェンダを送る予定です.イベントの企画はまったくの素人なので,イベント企画ブログや会議術のサイトなどを参考にやってます.勉強になるのはいいのですが,これに時間をとられすぎるのは痛いです.

もっとも,私が事務的なことの大半をやらなければいけないのは立ち上げのときだけで,次回以降はRA実行委員のみなさんにいろいろな仕事を分担してやってもらおうと思っています.そのためにも,初回はそれなりのものを作らねばです.

さらに来週は,もう一つとても重要な打ち合わせがあります.これについては,打ち合わせまでに重たい宿題が課せられているのですが,さてどうしたものか…

そういえば,今週末のTOEICを受ける予定だったのを,今まですっかり忘れていました.もうすっぽかしてしまいたいです.

再来週は共著論文の打ち合わせとその準備,そして自分のD論プロジェクトを進めるうえでの締め切りがあります.

やることはたくさん,しかし時間は有限.しかも自分のアタマがマトモに働く時間に限定すれば,使える時間はかなり限られています.こうやってやることを書きだして,あとは無理をしようないように着々とやっていくだけです.それがうまくできないから,困ってるんですけどね.学位をとるまでには,もうちょっと時間管理がうまくなっているようになりたいものです.

2009年10月7日水曜日

ブログを書いたり

昨日から,マレーシア実習について少しずつブログの文章を書いています.これは自分がマレーシアで感じた様々なことをこのブログを読んでくださっている方と一緒に考えたいという理由の他に,あと10日ほどで締め切りの実習レポートの下書きという理由もあります.いずれにしても,まとまった文章を書くことは,自分の考えが整理されてとてもよいことです.

ところで,今回のマレーシア関連の記事ですが,まずは英語版をすべて書きあげてから,こちらに翻訳・改訂版を掲載していこうと思っています.これは,実習の最終日に一緒にディスカッションをしたマレーシア・サラワク大学(UNIMAS)の学生さんたちにも記事を読んでもらいたいからです.

なので,何かコメントがありましたら,ぜひとも英語版のほうにお願いしたいと思います.日本語でも結構ですので,よろしくお願いします.

2009年10月6日火曜日

持続可能な熱帯林施業

9月23日から10月4日まで,生態適応GCOEのPEMプログラムの国際フィールド実習で,マレーシア・ボルネオ島(サバ州・サラワク州)へ行ってきました.天然林施業の現場を視察したり,ジャングルで動物や植物を観察したり,現地の行政や企業を視察したりと,盛りだくさんの12日間でした.本当は現地で逐次ブログを更新しようと思っていたのですが,ネットが使えなかったり,コースワークやディスカッションで忙しかったりでできなかったので,レポートの下書きを兼ねて数回にわけてここで様子を報告したいと思います.

実習の前半では,まずサバ州における森林管理指針を学び,持続可能な森林施業の現場を視察しました.今回訪問したDeramakot Forest Reserveはサバ州政府が管理している恒久的な森林保護区(Permanent Forest Reserve)の中でも,持続可能な森林施業体系の構築のためのモデル地区として,ドイツの協力のもとで先進的な森林管理が行われています.それらは,日本はもちろん,欧米を含めた先進国の主要な天然林施業指針よりもさらに生物多様性保全と持続可能な森林施業に配慮していると感じました.

具体的には,伐採が行われる地区では,まず作業道に沿ってすべての伐採対象木(DBH>60cm)について毎木調査とGPSによるマッピングが行われます.その際,オランウータンが利用する樹種や突出木は除外されます(これにもかなり細かいガイドラインがあるようです).伐採率は蓄積のせいぜい数パーセント程度であるとのことでした.伐採・搬出作業においても,作業道では土壌流出や踏み固めの影響が最小限になるような配慮がされ,傾斜が急な個所では架線集材が行われます.伐採後は現地の労働者が森林官が決めた施業方針に沿って作業を行ったかどうか査察が行われます.これらの現状から判断する限り,Deramakotの森林施業指針は生物多様性保全や持続的な資源の利用という観点からきわめて優れていると感じました.

ただし,これまで見てきた日本の森林の現状を思い出して,いくつか気になったこともありました.

まず,Deramakot Forest Reserveの森林施業指針自体は優れているものの,伐採跡地の長期的なモニタリングが不十分であると感じました.私が知る限りですが,北海道の天然林の場合,弱度の択伐は林分の外見や蓄積にはほとんど影響を与えないのですが,地表の環境の変化によって更新がうまくいかなくなったり,大きい個体を選択的に伐採することによって蓄積は変わらなくても個体サイズが小さくなっていくという,林分の“劣化”が起こります.熱帯林の場合はいろいろ事情が違うのだとは思いますが,ここで行われている施業指針が本当に将来の林業生産や生物多様性への影響が少ないのか,より長期的なスパンで検証してほしいものだと思います.

もうひとつ気になったのが,経営面からこのような施業指針を将来にわたって続けることができるのかという点です.伐採前の入念な資源調査,きめ細やかな伐採技術,跡地の査察に加えてFSCの森林認証を取得しているため,Deramakot Forest Reserveでは平均的なサバ州の森林に加えてかなりのコストがかかっていることが容易に想像できます.ところが,ここで伐採された木材の値段は,他の林分とほとんど変わりません.

現状では収支はやや赤字気味のようですが,年度によっては利益がでることもあるそうです.これはおそらく,マレーシアがまだ開発途上国であるために,賃金が安く労働力が豊富であることが理由でしょう.しかし,このような状況はせいぜい10~20年程度しか続かないと思います.マレーシアの経済が成熟して賃金の上昇と高齢化が起こったときに,日本のように林業活動を維持できなくなるのではないかと不安を感じました.

この点について現地の責任者によれば,「我々は政府なのでコストは気にしない」という返答が返ってきて,少しびっくりしました.おそらくこれはモデル地区であるDeramakotだけを意識した発言と考えられるのですが,持続的な森林管理をサバ州やボルネオ島全土へ広めていくためには,経営面でも十分成立することが不可欠でしょう.この点についても今後検討してくことを期待したいと思います.

それと同時に,消費国側でも生物多様性の保全や資源の持続可能な利用に配慮した管理をした森林から伐採された木材に対して,相応の負担をしていくことが必要だろうと痛感しました.現状では,Deramakotのような先進的な管理をされた森林でも,違法伐採された森林でも木材の値段はほとんど変わりません.消費者として,自分たちも熱帯林の生物多様性の保全や資源の持続可能な利用に対して責任を持っていることを,実感しました.

伐採後の捕植
伐採計画図.作業道沿いの伐採対象木がすべてマッピングされている.
査察のために,伐根に個体のナンバーを残す.同じものが材にもついている.

2009年10月5日月曜日

社会復帰

昨日,マレーシア実習から帰国しました.移動を含めて12日間,熱帯林や野生動物を観察したり,いろいろな現場を視察してディスカッションをしたり,美味しいものを食べたりと,これ以上ないというくらい充実した日々を過ごしてきました.これも実習を企画してくださった方々,現地で受け入れてくださった方々,そして参加者した学生のみなさんのおかげです.この場を借りて,お礼を申し上げます.

さて,夢のような12日間が終わって,今日から社会復帰です.朝は早起きして久しぶりに温泉に入ってから出勤しました.午前中は今回の出張関連のもろもろの事務手続きで終わってしまいした.生命科学研究科のみなさんはGCOEの支援室でこまごまとした手続きの一部をまとめてやってもらえるようですが,私は一度農学研究科でもろもろの決済をしなければいけないため,旅行計画・旅行報告を農学研究科の様式で書きなおして,さらに支援室で取りまとめてもらっているはずのもろもろの書類の写しなどをすべて用意して,事務に提出しました.とても効率が悪いのですが,農学研究科の事務からクレームがついて書類を書きなおすよりはマシです.

さらに午後は富松さんと青葉山まで出かけて,関係者のみなさんと雲をつかむような話の続きをしました.これからますます忙しくなりそうです.

というわけで,社会復帰初日はとても慌ただしく過ぎました.マレーシア旅行の余韻はほぼ完全に吹っ飛んで,もうぐったりです.今日は早めに休んで,明日から気合いを入れなおして,たまっている仕事を片づけたいと思います.

2009年9月24日木曜日

環境の南北問題,人口爆発と少子化,老いていくアジア

ちょっと前の話になるのですが,環境科学研究科で生態適応GCOEのPEM講義「環境マネジメント概論」の前半がありました.環境科学研究科の講義と合同だったのですが,参加者の8割くらいが生態適応GCOEの関係者でした.

前半は生態適応GCOEのPIで環境科学研究科の藤崎成昭先生から「開発と環境」「経済発展・人口成長と資源・環境制約」「日本のODA」という3つのトピックで4コマの講義がありました.お話がやや冗長で理解するのが大変だったのですが,国際的な環境マネジメント,特にアジアを中心とする(現在の定義でいうところの)新興国と先進国のあいだの意識のギャップやその背景についての基本的な事項を確認できたのは収穫でした.ただし,そのギャップをいかに埋めるかという点については講義の中でも少し議論があったのですが,悩ましいところです.

後半は日本総研の大泉啓一郎さんによる,「老いてゆくアジア」と題した講義がありました.経済発展に伴う人口増加から少子高齢化・人口減少にいたるまでの過程において,産業構造や人口の移動がどのように変化していくか,そしてそれに伴う様々な問題を紹介してもらいました.

多くの人にとってはあまり実感がないと思うのですが,紹介されたデータによれば東アジアの新興国・途上国においても確実に少子高齢化は進行していて,あと十数年のうちに多くの国が高齢化社会・高齢社会に突入するすると予測されているそうです.それによって,経済成長の停滞や福祉などの問題が近いうちに起こるとのことなのですが,おそらくそれに気がついている人はあまり多くないと思います.まずは,そういう認識を持つことが重要なのかなと思います.

ちなみにこの内容は同名の著書により詳しく紹介されています.まだ詳しく読んでいないのですが,時間があるときにまた紹介したいと思います.

--

上の文章,本当はずっと前に半分くらい書いて,それからしばらく放置していました.いつにも増して出来が悪いのですが,どうかご容赦ください.

今日からGCOEの実習でマレーシアに来ています.ネットが使えるときにでも随時様子をアップしていこうかと思います.

2009年9月1日火曜日

年度末は・・・

今日は9月23日から10月4日までマレーシアのボルネオ島で行われる,国際フィールド実習の説明会に出るために,仙台へ行ってきました.初めての東南アジア旅行で,しかも立て替えなければいけない旅費の一部がまだ確定していなかったりと不安はいろいろあるのですが,楽しみです.

さて,タイトルにもあるように,早くも年度末の予定が大変なことになってきました.まず,先週の金曜に4月2日から5日に筑波で開かれる森林学会のシンポジウムのコーディネータをやることになったのに加えて,3月4日に開かれるGCOE関連のイベントの準備も手伝うことになりました.7日から12日はマレーシア・クアラルンプールで開かれる森林遺伝関係の国際会議で発表する予定です.で,帰国して15日から20日は駒場で生態学会.

これらをマトモにやると大変なことになるので,ひとまず3月4日のイベントの実質的な仕事を,私ではなく何人かの学生(RA)で分担してやってもらうよう,お願いしました.これで1~2月の負担がだいぶ軽くなりました.RA(DCも?)のみなさんには,近いうちに何かしらのお知らせが行くと思います.

森林学会のシンポジウムのほうも,一緒にコーディネータをやってくださる玉木さんに加えて数人の方にサポートをお願いしました.とても強力な方々がバックアップしてくださることになったので,心強いです.

2009年8月29日土曜日

明りのない昼とその後

今日は農場の電源設備の点検のため,昼間に4時間ほど停電がありました.普通の大学は仕事への影響を少なくするするために休日にこういう作業をすると思うのですが,電気がなくても大半の農作業はできるし,うちくらいの規模の事業所ではそれなりの数の技術職員が停電中の監視や停電後の復旧作業にあたるので,こっちのほうがいいのかも知れません.

一方の研究員・学生ですが,停電中は当然パソコンもネットも使えず,明りもつかないので本や論文を読むことすらままなりません.というわけで,今日のお昼はみんなでご飯を食べてお茶を飲んで,まったり過ごしました.さらに私と数人の学生は,普段は行かない中山平方面の温泉へ行ってきました.よい身分です.

夕方,明りが回復してからは,富松さん先日の雲をつかむようなディスカッションの続きをしました.道のりは依然として険しいと,改めて感じました.

さらに夕方,筑波の津田さんからお電話を頂いて,来年度の森林学会で行うシンポジウムの企画or講演をお引き受けすることになりました.一応,テーマは「保全」ということにしてもらったのですが,ただの「保全」ではなく,もうちょっと最近のトレンドを加味した企画にしたいと思います.

2009年8月25日火曜日

雲をつかむような話とささやかな幸せ

今日は早朝から昼まで実験をして,午後は富松さん生態適応GCOE関連のミーティングのために仙台へ行ってきました.

ミーティングの目的は,来年の春に予定している国際ワークショップに関連して執筆を予定している総説論文の方向性を議論することです.この総説論文は国際ワークショップの招待講演者とGCOEのスタッフが中心になって文献調査・メタ解析・執筆を行うことになっているのですが,私を含めて4人の博士課程の学生も作業に参加させてもらえることになりました.せっかくの機会なのでいろいろ勉強させてもらいたいと思います.

国際ワークショップのテーマは「生態系の安定性・頑健性」ということなので,これに関してこれまでに得られている知見のレビューと将来の課題を議論すればよいわけです.ところが今回の国際ワークショップには,個体・個体群レベルからネットワーク・景観レベルまで,それぞれのスケールで起こっている現象を扱っている研究者が参加するので,それらを網羅するような具体的な切り口・トピックがなかなか思い浮かびません.そこで今回の総説論文では,様々なスケールで得られている知見を“統合”して,何か新しい知見が得られないかということになりました.いわば“レビューのレビュー”をしようというわけです.

では,どうやってそれを具体的に進めていこうかという話になるのですが,あまりにもテーマが大きすぎて,雲をつかむようなまとまりのない話が延々と続きました.だいたい上の文章を読み返してみて,自分でも何が言いたいのか分かりません(笑).しかし最終的にはいくつかいいアイディアがでて,なんとか次のステップには進めそうな気がしてきました.依然として雲をつかむような話ですが,つかもうとしている雲のおおよその形が見えてきたくらいの成果はあったと思います.10月から文献調査を開始するということなので,それまでには具体的な計画が立てられればと思います.

夕方にミーティングが終わってすっかりお腹が減ったので,帰りは何か美味しいものを食べようということになりました.道中2人であれこれ考えて,今回は古川の造り酒屋の建物をそのまま利用した醸室(かむろ)という飲食店街に入っている,ビストロ足軽というイタリア料理のお店に行くことにしました.酒蔵だった建物を改装した,20席くらいのとてもこじんまりとしたお店です.

黒板にあったおすすめの単品料理や石窯焼きのピザも魅力的だったのですが,せっかくなので(?)今回はコース料理を頂いてみることにしました.コースは魚介のカルパッチョ,若鶏とキノコのクリームスパゲティ,豚肩ロースと野菜の焼き物に加えてデザートという構成でした.どれもとても美味しくて,幸せな時間を過ごすことができました.

また近いうちに来たいと思います.