2010年1月7日木曜日

翻訳はむずかしい

昨年11月のPEM講義をきっかけに,国際環境NGOのThe Natural Stepが提供している教材の日本語版をつくるプロジェクトが,生態適応GCOEに参加している学生を中心に先月から進められています.私もテキストの翻訳をお手伝いしているのですが,これがなかなか大変で手こずっています.

作業のながれとしては,まず12,000語くらいの英語の文章を10人くらいで分担して下訳を作ってもらって,それを私がまとめて日本語の体裁を整えるという具合です.当初は下訳があれば体裁を整える作業なんて簡単だろうと思っていたのですが,人によって日本語の書き方がバラバラだったりたまに誤訳があったりして,2日かけてまだ全体の41%しか終わっていません.最初の15%は私がつくった見本訳なので,実質的には31%しか終わってないことになります.

プロジェクトリーダーから言われている締切は8日なのですが,このペースだと若干締切に間に合わない可能性がでてきました.マズイです.

こういう仕事をしてみると,プロの翻訳家の方々はすごいなぁと改めて感心します.英語力はもちろんですが,日本語で文章を書く能力も必要ですし,何よりも対象となる分野に関してそれなりの知識がないと翻訳の仕事はできません.私がいま訳している環境系の分野だと,アル・ゴアの不都合な真実を翻訳された枝廣淳子さんという方が有名なのですが,翻訳の質がすばらしいだけでなく,持続可能性・地球温暖化・生物多様性などに関して非常に幅広い活躍をされています.やはりそれだけ多彩なバックグラウンドがあってこそ,いい仕事ができるのでしょうね.

ちなみに今回の作業では,Google翻訳者ツールキットという,ウェブベースのツールを使っています.原文と訳文をハイライトして対比しながら翻訳できるほか,機械翻訳が下訳をやってくれたり,辞書や自分で定義した単語集を翻訳中に参照することもできます.過去に誰かが全く同じ文章を訳していれば,その訳も表示してくれるようです.しかも,Googleドキュメントのように何人かで同時に同じ文章を編集することもできます.

多くの人にとって実際,翻訳の仕事をすることはあまりないとは思いますが,もし機会があればぜひ試してみてください.

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