2010年3月1日月曜日

樹木の保全遺伝学を考え直す

3月になりました.今週末からしばらく出張なので,その準備に追われています.しかし,昨晩は4月にある大きなイベントの準備をしていました.

4月2日から5日にかけて筑波大学で行われる第121回日本森林学会大会で「Conservation genetics of forest trees in the era of rapid environmental changes: from descriptions to applications」というシンポジウムを,岐阜県立森林文化アカデミーの玉木一郎さんと一緒に企画することになっています.

保全遺伝学とは,「遺伝的要因による絶滅リスクを最小にする」ことを目的とする保全生物学の一分野です.また,林業などの生物資源に関わる産業の立場から付け加えるとすれば,遺伝学の技術・知見を応用して「環境変化に対して生物資源の持続的な利用を可能にする」ことを目的とする資源管理学の一分野ともいえるでしょう.

ただし,私をふくめてこれまでに樹木の保全遺伝学にかかわってきた人がどれだけ保全の現場にコミットできたかというと,おそらくきわめて低いと言えるのではないでしょうか.これまでの保全遺伝学は集団の遺伝的多様性や遺伝的多様性に影響する要因については,それなりに知見を積み重ねてきました.しかし,保全の現場にそれを応用するためには「どうすれば遺伝的多様性を守れるのか?」「遺伝的多様性をどれだけ守ればいいのか?」「そもそお遺伝的多様性を守って何になるのか?」といった疑問に保全遺伝学の研究者は答える必要があるでしょう.

これらの背景をふまえて,もうひとつのブログに樹木の保全遺伝学の現在の論点について,かなり大雑把なドラフトを書いてみました.これをベースに今月は自分の考えを整理していきたいと思います.

2 件のコメント:

  1. ひょんなことでここに辿り着きました。
    相変わらず多忙なようだね。
    色々あるかとは思いますが、頑張って下さいませ。

    俺は先日まで1か月ほど実験でフィレンツェに行っていました。
    忙しかったけど、酒屋などでサンジョベーゼを高率で使ったワインのテイスティングなど堪能できたよ。
    トスカーナ最高!。
    保全遺伝シンポは、、、思い返せば突然シンポ依頼をしてしまって失礼しました(引き受けてくれてありがとう)。
    先日、森林学会サイトで要旨みて、その熱さにびっくりしたよ!。
    沸点ですな、、、笑。

    お互い頑張りましょう。

    20年ぶりの大雪というウプサラから、、、。

    つだ

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  2. コメントありがとうございます.私も一昨日,フィレンツェのワインをレストランで飲んできました.マルゲリータとの相性が最高ですね!

    シンポ,まだどうなるか自分でもイメージできないのですが,ぜひディスカッションではアツイ議論ができればと思います.よろしくお願いします!

    とみた:)

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