2010年1月30日土曜日

めしなう

ここ最近,ずっとブログをサボっていました.書きたいことはたくさんあったのですが,イマイチ自分の中で消化しきれずに,文章に出来ませんでした.加えて,Twitterのほうも,どうでもいいつぶやきが多かったと思います.

どうでもいいつぶやきの中でも特に多かったのが,ごはんに関するつぶやきです.私には,ごはんを食べたりお酒を飲んだりするくらいしか趣味と言えるようなものはないのですが,ドクターに進学してからはめっきり自分で料理をすることもなくなってしまいました.でも,外食ばかりではお金がかかるうえに,自分が食べたいものが食べられないので,去年の秋くらいに一念発起して自炊をすることにしました.最初はお米がなかったのでパスタとかが中心だったのですが,新米が手に入ってからはほぼ毎日お米を炊いています.

おかずはだいたい魚がメインです.今の季節はホッケが安いので,ほぼ毎日ホッケを焼いています.その他には,青物のおひたしや玉子焼きなど,オーソドックスなものを作っています.下の写真は,今日の夕ごはんです.今日はブリのアラが150円で手に入ったので,ブリの粕汁・納豆ご飯・ひじきの煮物・だし巻き玉子・春菊&ほうれん草のごま和えを食べました.

昨日はクジラが食べたかったので,クジラのみそ汁(はりはり鍋風)・シラスと小エビのご飯・ホッケの塩焼き・だし巻き玉子・ほうれん草のごま和えにしました.

細かいおかずの類はちょっと多めに作ってタッパーに保存しているので,朝ごはんとかお弁当とかお酒のおつまみとかに使えて便利です.

ただ,こういうマトモな料理ばかりを毎日作っているわけではありません.先週はいろいろなご縁で,寿司を何回かごちそうになりました.カウンターに座って職人さんの仕事をながめていると,だんだん自分でもやってみたくなってきます.というわけで,今週の前半は4日連続で寿司を握りました.下の写真は初日に握ったアジとイカです.初日はうまくできなかったのですが,YouTubeなどで研究を重ねて,そこそこマトモに握れるようになりました.もちろんプロの職人さんには遠く及ばないのですが,何かの機会に披露できればと思ってます.

私は大学に入ってからいままで8年くらい一人暮らしをしていて,そのうち半分くらいは学食とか外食で済ませてきました.忙しいとどうしても自炊が続けられないのですが,今度はなるべく頑張って続けたいものです.

2010年1月7日木曜日

翻訳はむずかしい

昨年11月のPEM講義をきっかけに,国際環境NGOのThe Natural Stepが提供している教材の日本語版をつくるプロジェクトが,生態適応GCOEに参加している学生を中心に先月から進められています.私もテキストの翻訳をお手伝いしているのですが,これがなかなか大変で手こずっています.

作業のながれとしては,まず12,000語くらいの英語の文章を10人くらいで分担して下訳を作ってもらって,それを私がまとめて日本語の体裁を整えるという具合です.当初は下訳があれば体裁を整える作業なんて簡単だろうと思っていたのですが,人によって日本語の書き方がバラバラだったりたまに誤訳があったりして,2日かけてまだ全体の41%しか終わっていません.最初の15%は私がつくった見本訳なので,実質的には31%しか終わってないことになります.

プロジェクトリーダーから言われている締切は8日なのですが,このペースだと若干締切に間に合わない可能性がでてきました.マズイです.

こういう仕事をしてみると,プロの翻訳家の方々はすごいなぁと改めて感心します.英語力はもちろんですが,日本語で文章を書く能力も必要ですし,何よりも対象となる分野に関してそれなりの知識がないと翻訳の仕事はできません.私がいま訳している環境系の分野だと,アル・ゴアの不都合な真実を翻訳された枝廣淳子さんという方が有名なのですが,翻訳の質がすばらしいだけでなく,持続可能性・地球温暖化・生物多様性などに関して非常に幅広い活躍をされています.やはりそれだけ多彩なバックグラウンドがあってこそ,いい仕事ができるのでしょうね.

ちなみに今回の作業では,Google翻訳者ツールキットという,ウェブベースのツールを使っています.原文と訳文をハイライトして対比しながら翻訳できるほか,機械翻訳が下訳をやってくれたり,辞書や自分で定義した単語集を翻訳中に参照することもできます.過去に誰かが全く同じ文章を訳していれば,その訳も表示してくれるようです.しかも,Googleドキュメントのように何人かで同時に同じ文章を編集することもできます.

多くの人にとって実際,翻訳の仕事をすることはあまりないとは思いますが,もし機会があればぜひ試してみてください.

2010年1月4日月曜日

新しい年を,背水の陣で迎える

明けましておめでとうございます.昨年はとても多くの方にお世話になり,貴重な経験をいろいろさせていただきました.今年もいろいろお世話になるかと思いますが,よろしくお願いします.

昨年はGCOEの影響もあって,自分のこれまでの興味とはかなり離れた分野について,いろいろ勉強させてもらった1年でした.イベントやPEM講義で企業・NGO/NPOの方々と交流する機会が増え,地球環境・生物多様性・持続可能性などについて以前よりも多角的な視点で問題を認識できるようになりました.また9月にはマレーシア・ボルネオ島に連れていってもらい,開発途上国の生物多様性が直面している危機とそれを取り囲む多くの問題について,深く考える機会をもらいました.

現場にいる人たちと交流できたことは,環境問題における研究者の立ち位置・役割について深く考え直すきっかけにもなりました.一応私は,大学に入ってからずっと応用科学の分野にいたつもりだったのですが,私の研究成果が現場に何か具体的な貢献したことは多分ありません.私が自分の研究の意義と言っているもののほとんどが,根拠があまりないこじつけです.私のまわりにいた研究者の多くもそうだったと思います.大学に入った当初は,現場と離れた応用科学に強い違和感を感じていたのですが,いつしかそれが当たり前になりすぎていたようです.

これらの経験を通じて昨年は,自分のこれらからの進路についてもいろいろ考えました.これまで私はずっと生態学の研究者になりたいと思ってきたのですが,ここに来て政策・意思決定の現場により近い場所で働いてみたいとも思うようになりました.どちらの道を目指すにしても見通しはあまりなくて,むしろ不安ばかりなのですが….

その一方で,自分の研究についてはほとんど何も進展がありませんでした.むしろ,後退してるくらいです.最近は仕事が手につかないばかりか,研究をすることに対して面白さを感じなくなってきました.これでは肝心の博士号をとれないばかりか,いままでお世話になってきた多くの方のご好意を無下にすることになってしまうので,何とかモチベーションを戻していかねばです.どこかに集中して論文を書くなど,自分に研究についてじっくり考える時間をとらねばです.

学位取得があと1年と少しに迫ってきたいま,2010年はこれから自分は何をしたいのか・すべきなのかを真剣に考える年になりそうです.学部以来ずっと甘んじていたモラトリアムは,あと1年ちょっとで終了します.今の自分はまだ社会に出る準備が出来ているとは言えません.知識・実力をつけることはもちろんですが,それ以上に今年は専門家としての自分のアイデンティティを確立することを目標にしたいと思います.

さて,次は何しようかな・・・

2009年12月29日火曜日

博士の価値,か・・・

最近すっかりTwitterにハマってしまい,ブログを書く頻度が大幅に減ってしまいました.しかし,やはり誰かがつぶやいていたのですが,Twitterで誰とでも気軽にコミュニケーションができるようになったからこそ,アーカイブとしてのブログの存在はますます重要になっていきます.というわけで,今日はTwitter上であった議論を一つ紹介したいと思います.

事の発端は,嫌煙について何人かの人が話していたときでした.当初はごくありふれた議論が進んでいたのですが,化学リスクの専門家を自称するNPOの代表が加わってから,議論がおかしくなっていきました.彼は極端な嫌煙論者のようで,“化学”・“生理学”・“薬理学”などの観点からタバコのリスクについてヒステリックとも思える主張を展開していました.

プロフィールによれば,彼は化学物質の毒性評価に関する研究によって博士(農学)の学位を取得しているようです.要するに,プロの科学者(化学者)というわけです.しかし,彼の議論には科学者として致命的な問題がいくつかありました.

まず,彼は(自称)化学者らしく,タバコのリスクをニコチンの化学構造や生体内での機能の観点から論じていました.例えば,ニコチンの害について論じるのに「AChレセプターに対する真のリガンドは言うまでもなくアセチルコリンであって、それ以外のゼノバイオティクス(筆者注:ここではニコチンのこと)は全てダミーということです。」といった具合です.これではタバコがアセチルコリンのレセプターに作用して喫煙者に快楽をもたらすことを主張できても,タバコのリスクを主張することはできません.タバコのリスクを主張するなら,喫煙習慣に関する疫学的な研究例を引用すべきです.自らの専門分野に固執するあまり,要素還元的な論法から抜けられないようです.

次に問題だと感じたのが,他者とのコミュニケーションに対する彼の姿勢です.彼はよほど自分の主張を曲げたくないのか,自分の主張に対して反論が来ると,議論の主題などお構いなしにその主張の曖昧な点や弱い点を突こうとします.論理のすり替えです.このようなやり取りで議論がまとまるはずがありません.

これだけならまだいいのですが,私がもっとも許せないと感じたのは,彼の傲慢さです.彼は「博士(農学)」「化学リスクの専門家」という肩書(自称を含む)を盾に,他人の意見をすべて否定するばかりか,他人をバカにさえします.にもかかわらず,ウェブサイトやツイートの履歴を読むかぎり,彼はこれらの肩書を顧客への訴求点としているようです.自分の無知を棚にあげて,肩書きを盾に異なる意見を排除し,自分の主張を通すというわけです.

欧米に比べて民間・NPOで活躍する博士号取得者が少ないため,問題解決の現場と研究者の乖離が日本ではしばしば問題にされます.したがって,博士号取得者が専門家としてNPOを主宰することは,本来歓迎すべきことのはずです.しかし,議論やコミュニケーションの姿勢に問題があるばかりか,博士の肩書きを自分の権威としてむやみに利用するという彼の態度は,PEMコースの履修生として,とても残念に思います.

大学院に在学しているとあまり意識しないのですが,世間で博士号の取得者は特定の分野に関する高度な専門家と評価されます.しかし,彼のように博士の権威をむやみに利用する人をみると,博士の価値って何なのだろうと思います.彼はやや特殊な例かも知れませんが,現場で「使えない」と言われている博士の多くは,彼のように能力に偏り・問題があるが博士号を盾に威張っているという例が,多いのではないでしょうか.PEMとして,どうかそのような博士にはならないよう,自分への教訓としたいと思います.

ちなみに一連の議論は,本気で怒った私がうっかり彼を言いくるめてしまったために(こういう人を言いくるめるやり方があるのです),彼の方から議論を遮られてしまいました.これもコミュニケーションのやり方として良くなかったと反省しています.環境問題の現場では,様々な考え方や価値観を持った人たちと本気で対話していく覚悟・スキルが常に求められます.実際,私は環境問題の現場で仕事をされている方と何度か今回のような不毛な議論をした苦い経験があります.今回も(また)失敗してしまいましたが,こうした教訓を積み重ねていつかは成長していきたいものです.

2009年12月24日木曜日

里山・里海って・・・?

しばらく更新が滞っていました.21~23日までの3日間は,仙台で開催された日本における里山・里海のサブ・グローバル評価(里山里海SGA)の会議を,生態適応GCOEのツテで手伝わせてもらいました.

里山里海SGAとは,国連が提唱して2001~2005年に行われたミレニアム生態系評価(MA)の続きとして,日本の里山・里海を対象に生物多様性と生態系サービスの評価を行おうという計画で,2010年10月に名古屋で行われる生物多様性条約COP10での公表が予定されています.

手伝い人の私がこの会議の内容に言及するのはあまりよくないので,差し障りのない範囲で感想を述べたいと思います.

SGAは基本的にMA-SGAの枠組みを踏襲するので,この報告書では里山・里海の現状と傾向・対応の評価・将来のシナリオの,大きく分けて3つの要素について評価が行われる予定です.来年のCBD/COP10でのレポートの公表を控えているということで今回の会議では,これまでに国レベルの専門家が評価した結果とその枠組について,議論が行われました.里山・里海の現状と傾向の部分ではさらに,里山・里海の定義・生態系サービスの変化の現状と要因…などなどについて,かなり突っ込んだ議論が行われました.

この会議の議論をずっと聞いていて思い浮かんだのが,里山・里海って何なのだろうという素朴な疑問です.「里山」という単語をから私が思い浮かべるのは,新潟(特に上・中越地方)の山村地域のような,タケノコ・山菜が採れる山があって,田んぼがあって,あまり大きくない川があって,池があって…,というイメージです.これがいわば,私のなかの「里山」の原風景なのでしょう.一方,「里海」というのは聞き慣れない言葉ですが,強いてあげるとすれば磯とか小さな漁村とかがあるような風景でしょうか.具体的には,新潟の山北町の海岸線のイメージですね.

ところが,様々な議論を聞くなかで,人間が関わっているという点では共通しているものの,空間的な広がり・そこに含まれる要素・機能など,里山・里海の定義・解釈がきわめて多様であるということに驚きました.最終的にここで議論された結果がどう位置づけられていくかは,来年10月のCBD/COP10以降です.今後も注目していきたいと思います.

もう一つ興味深かったのが,里山里海SGAをどうやって日本国外に向けて発信していくかという議論でした.これについても目からウロコな重要な議論がいくつもありました.これもやはり,CBD/COP10以降の動向が気になります.

3日間の会議の半分くらいは,各章ごとに執筆者と関係者の分科会が行われました.私もとある分科会をお手伝いしつつ議論を聞いていたのですが,なかなか楽しい議論でした.この議論を踏まえて最終的に発行されるレポートがどうなるか,楽しみです.

まだまだ書きたいことがたくさんあるのですが,それらは来年10月のCBD/COP10までのお楽しみ,ということで.

会議が終わった後は,この会議に共同議長・専門家として国連環境計画(UNEP)から来られた2人のゲストを連れて,鳴子温泉に行きました.ここでもいろいろ興味深い話を聞かせてもらいました.話の内容と英語についていくのが大変だったのですが,いい経験をさせてもらいました.

2009年12月11日金曜日

「ゲノムと生態系をつなぐ」か・・・

12月7~9日にかけて,長野県・菅平高原で行われた研究集会「ゲノムと生態系をつなぐ進化研究-環境変動・集団履歴・適応」に参加してきました.総研大の印南秀樹さん山道真人さんによるコアレセント理論の講義・実習や,20名以上の研究者によるエコゲノミクス関連の刺激的な研究発表など,盛りだくさんな3日間でした.私自身も久しぶりにこの分野の最先端の話を聞けて,大いに刺激を受けました.

今回の集会の一番の収穫は,コアレセント理論にもとづいて遺伝子の多型情報から集団のデモグラフィーや選択の履歴を推定する一連の手順と背景となる理論を理解できたことでした.これまで,教科書やセミナーなどで断片的な知識くらいは持っていたのですが,そこから実際にどうやって応用していいのかよく分かっていませんでした.それが,印南さんの丁寧なレクチャーのおかげで,基本的な部分や実際の多型データへ適用まで,だいぶ理解できたと思います.

それに続く山道さんのレクチャーでは,簡単なモデルを例にパラメータ推定の手順をわかり易く紹介してもらいました.これについては,今回届いた日本生態学会誌59(3)の連載「始めよう!エコゲノミクス」の記事「集団内変異データが語る過去:解析手法と理論的背景(その1)」に簡潔に紹介されていますので,興味がある方はそちらを参照してください.

関連研究発表では,エコゲノミクスに関連して,局所適応・遺伝構造・表現型可塑性・遺伝子発現・ゲノム構造などについて,未発表データや研究計画を含めた刺激的な議論が続きました.今回は分野外ということもあってあまり積極的に議論には加われなかったのですが,その分視野を広げてもらった気がします.自分では大した研究をしていないのですが,こうやっていろいろな人が面白いことを教えてくれるのは,ありがたいことです.

個人的に一番面白かった発表は,浜松にある東大附属水産実験所の菊地潔さんによる,フグ類の様々な形質マッピングに関連した一連のお話でした.フグという生き物の面白さはもちろんのこと,地方の実験施設の1研究室であれだけの量・質のデータを出されているというのは,同じ田舎で研究している自分にとって,とても勇気づけられるものでした.見習いたいものです.

しかし,今回の研究集会をふりかえってみて,改めて自分自身の研究はもう「分子生態学」とは言えなくなってしまったなぁと感じました.遺伝マーカーを使った親子解析の研究は5年くらい前から時代遅れになりつつありましたが,みなさんの発表を聴いて,もう完全に「分子生態学」の枠組みから外れてしまったことを実感しました.もちろん普通の(保全)生態学の研究としてはまだまだやっていけるとは思っているのですが,いずれ新しい視点や技術を取り入れていかねばです.

もしこのまま研究者を続けていくなら自分自身がどう振舞うべきか,いろいろ考えさせられる集会でした.

2009年12月3日木曜日

Google IMEを使ってみた

Googleが今度は日本語入力システムを出したらしいという情報を,Twitterで知りました.概ね好評なようだったので早速ダウンロードして試してみようと思ったのですが,日本語の文章を入力する用事がなかったので,とりあえずブログを書くことにしました.

さて,ほんの少しだけ使ってみた感想ですが,まず予測変換がMS-IMEよりもずいぶん利口だなと思いました.上のパラグラフを入力するときに,「ためして」と入れたら予測変換の候補に「試して」「ためしてガッテン」と表示されました.「ためしてガッテン」の「ためして」は平仮名で書くのが正しいのですが,MS-IMEではおそらく「試して|ガッテン(合点・画展)」と“普通に”変換されると思います.この辺の固有名詞をしっかり押さえているあたりはさすがGoogleです.

また,ウェブから単語を拾ってデータベースを作っているせいか,MS-IMEでよく誤変換される単語がほとんど入っているのにも感心しました.マニアックな単語では,林木育種の専門用語で「精英樹(せいえいじゅ)」という言葉があるのですが,これが一発で変換されました.あと,若手研究者のあいだでよくネタにされる「がくしん→が苦心」も一発で「学振」と変換されました.素晴らしいです.

ただ,MS-IMEではまぎらわしい単語を変換するときは候補ウィンドウにそれぞれの単語の定義が表示されたのですが,Google IMEではそれが出てこないのだけは物足りないかなと思いました.あと,構文解析もまだMS-IMEの最新版の方が若干上かなと感じました.ベータ版ということなので,これからの発展に期待したいです.

2009年12月2日水曜日

やる気がでないときのために

先々週はめずらしくブログをまじめに書いていたのですが,先週はまだ中身を公開できないディスカッションが多かったり,生産的じゃない考え事をしていたので,ブログのネタがありませんでした.いや,ブログに書くようなネタはいくらでもあったはずなのですが,ブログを書くほどのやる気がでなかったというのが本当のところでしょう.

私はブログで生計を立てているわけではないので,ブログを書くやる気がでないことくらい大したことはないのかも知れません.しかし,もしこれが研究活動や自己研鑽に対するやる気がでないばかりにそれらが停滞してしまったら…,それは私に対する評価を下げることになり,いろいろなチャンスを失うことになるかも知れません.

そんなことを考えていたらちょうど面白そうな本が出たので,買ってみました.どんな時代もサバイバルする人の「時間力」養成講座 (ディスカヴァー携書)という新書です.

タイトルをみるとこの本は,巷にあふれている普通の時間管理の本のように見えます.しかし,この本の主眼はこれまでの時間管理術のように「限られた時間の中でいかにうまく仕事を処理するか」ではなく,「限られた時間の中でいかに質の高いアウトプットを出すか」ということに置かれています.

筆者によれば,限られた時間の中で質の高いアウトプットを出すための秘訣は,時間ではなく「やる気」をコントロールすることにあると言います.「やる気」があるときは短時間で質の高いアウトプットを出せるけれど,今の私のように「やる気」がないときはいくら時間をかけてもいい仕事はできないというのは,多くの人が実感しているところでしょう.

この本では,どうやって「やる気」のある時間を作るか,「やる気」のある時間にいい仕事をするために何をすればいいのかなどについて,筆者の経験に基づいたお話が紹介されています.ビジネスマン向けの本なので経済などの例が多いのですが,基本的な部分については研究者でも十分共感できると思います.

時間管理術というより自己啓発の本という色合いが強いのであまり真剣に読む必要はないと思いますが,やる気がでなくて仕事が停滞している今の私にとってはそれなりに刺激的な内容でした.これに触発されて,今月はいい仕事ができるようになりたいものです.

2009年11月21日土曜日

声を届けたい

ここ1週間くらい,あちらこちらで行政刷新会議の事業仕分け結果への不安・不満が言われています.例えば,私がお世話になっている特別研究員事業は誤解を含むいろいろなコメントがついて,「縮減」の判定を受けました.人ごとなら笑っていられるのでしょうが,自分自身への評価や自分の研究生活そのものに直結することなので,何もしないわけにはいきません.微力ながら私も,文部科学省に対して意見を表明させていただきました.

多くの有識者・当事者が指摘しているとおり今回の事業仕分けにおいては,たった1時間で関連するすべての事業を評価するという手法に問題は多いと感じています.財務省・文科省の双方の担当者が現状の問題点を的確に把握していない(もしくは恣意的に論点を変えた?)ことも,事態を悪化させた要因であると言えます.これが契機となって科学技術関連の予算が大幅に削減されて将来にわたって日本の科学技術力を削いだとしたら,事業仕分けに関わった人たちの責任は大きいでしょう.

しかし,議論の手法に問題はあるものの全体として見れば,この事業仕分けはより成熟した民主主義へ向けた一歩となると私は考えています.財務官僚による論点の誤解・操作があったとしても,評価を行うのは国民の代表です.したがって,ワーキンググループの評価は科学技術への投資に対する国民の感情をある程度反映しているものと考えたほうがよいでしょう.実際,事業仕分けへの意見を表明した人の中には,研究に税金を使うことに対する意味や国民との対話の重要性を再認識した人も少なからずいるようです.

そして,今回の事業仕分けでは議論の過程がすべて公開され,それに対して意見を表明することができるという点も重要です.来年度の予算編成においてワーキンググループの結果はあくまで参考であり,それに対する意見を踏まえたうえで与党が最終的な判断を下します.つまり,ここで意見を表明することが重要なのです.

一昨日の深夜,面倒くさいメールを書きつつビールを飲みながら,何気なくTwitterで事業仕分け関連のタグを眺めていたら,各学会の若手が共同で声明を出すという動きがあるのを知りました.文科省へ多くのパブコメを届けることも重要ですが,同じ立場の人間が集結して声明を出すことは,より大きな影響力を持つことにつながると考えられます.というわけで,さっそくその取りまとめ役の方を紹介していただいて,生態学会からも有志で声明に加わることにしました.幸いにもこの提案をjeconetで流したところ,わずか半日で50名近い方の賛同をいただきました.

朝,メールを見たら,これに関連して25日の事業仕分け会場に若手の有志が集まってマスメディア向けに意見を表明する旨のプレスリリース(!)が届きました.私は行けませんが,少しでも国民のみなさんに若手研究者の声が届くよう,微力ながらお手伝いさせていただきたいと思います.

2009年11月20日金曜日

事業仕分けへの意見2(女性研究者支援)

Twitterやここで「女性研究者支援へのパブコメが少ない」という情報が流れていたので,急きょコメントをしたためて送りました.文章が荒っぽくて,おまけに一点ロジックが通らない部分があるのですが,鍵となる主張にはさほど影響しません.むしろ,多くの声が届くことが必要なのだと思います.一応,ここで公開します.

行政刷新会議担当
副大臣  中川正春 様
政務官  後藤 斎 様

行政刷新会議仕分け対象事業のうち,事業番号39:科学技術振興調整費(女性研究者支援システム改革)について意見を提出します.

標記事業につきましては,「予算要求の縮減(1/3程度)」という評価がなされましたが,私は科学技術振興政策においてもとりわけ女性研究者支援については緊縮財政課下においても優先的に予算を配分すべきであると考えます.それは来るべき高齢社会においては労働人口の低下は避けられず,科学技術分野への女性の参画を加速することが不可欠であるからです.

第3期科学技術基本計画において,女性研究者の採用割合を「自然科学系全体として25%(理学系20%、工学系15%、農学系30%、保健系30%)」とする数値目標が設定されましたが,現状では研究者に占める女性の割合は全体でわずか13%程度にすぎません.

数値目標はおおむね新規に博士号を取得した女性の割合を基準に設定されているため,目標と現実の差は優秀な女性が科学技術業界から流出していることを意味しています.このギャップを埋めることは,次世代を担う科学者の育成において急務であると言えます.

公表されている評価者のコメントを読む限り,女性研究者への生活支援は認めるものの,以下のように研究費への支援を「過大」「逆差別」と考えておられる委員が多いように思えます.

  • 「保育所の設置に限定するなら良いが、研究費は余分」
  • 「女性研究者に過大な補助金を与えるのは逆差別になりかねない」
  • 「支援は重要だ。研究費をつけるという支援の仕方はいけない」

私は研究費等の支援を「過大」とは考えません.研究者の評価基準のうちの重要な要素が研究費の獲得額である現状を踏まえば,女性研究者へ優先的に研究費を配分することは,より高い職位への女性の登用を促し,長期的に女性研究者全体の割合の向上へつながります.

女性への研究費等の支援が「逆差別」ということは,事例のレベルではあるかも知れません.しかし,そもそも学位取得者に対して女性の常勤的な研究職への登用が少ないこと,より高い職位への登用が少ないことを考えれば,全体として女性の立場が低いことは明らかです.

以上の理由から私は,研究者育成政策において積極的な女性研究者への支援が不可欠であり,急務であると主張します.


富田 基史

東北大学大学院農学研究科
日本学術振興会特別研究員(DC)