2009年11月21日土曜日

声を届けたい

ここ1週間くらい,あちらこちらで行政刷新会議の事業仕分け結果への不安・不満が言われています.例えば,私がお世話になっている特別研究員事業は誤解を含むいろいろなコメントがついて,「縮減」の判定を受けました.人ごとなら笑っていられるのでしょうが,自分自身への評価や自分の研究生活そのものに直結することなので,何もしないわけにはいきません.微力ながら私も,文部科学省に対して意見を表明させていただきました.

多くの有識者・当事者が指摘しているとおり今回の事業仕分けにおいては,たった1時間で関連するすべての事業を評価するという手法に問題は多いと感じています.財務省・文科省の双方の担当者が現状の問題点を的確に把握していない(もしくは恣意的に論点を変えた?)ことも,事態を悪化させた要因であると言えます.これが契機となって科学技術関連の予算が大幅に削減されて将来にわたって日本の科学技術力を削いだとしたら,事業仕分けに関わった人たちの責任は大きいでしょう.

しかし,議論の手法に問題はあるものの全体として見れば,この事業仕分けはより成熟した民主主義へ向けた一歩となると私は考えています.財務官僚による論点の誤解・操作があったとしても,評価を行うのは国民の代表です.したがって,ワーキンググループの評価は科学技術への投資に対する国民の感情をある程度反映しているものと考えたほうがよいでしょう.実際,事業仕分けへの意見を表明した人の中には,研究に税金を使うことに対する意味や国民との対話の重要性を再認識した人も少なからずいるようです.

そして,今回の事業仕分けでは議論の過程がすべて公開され,それに対して意見を表明することができるという点も重要です.来年度の予算編成においてワーキンググループの結果はあくまで参考であり,それに対する意見を踏まえたうえで与党が最終的な判断を下します.つまり,ここで意見を表明することが重要なのです.

一昨日の深夜,面倒くさいメールを書きつつビールを飲みながら,何気なくTwitterで事業仕分け関連のタグを眺めていたら,各学会の若手が共同で声明を出すという動きがあるのを知りました.文科省へ多くのパブコメを届けることも重要ですが,同じ立場の人間が集結して声明を出すことは,より大きな影響力を持つことにつながると考えられます.というわけで,さっそくその取りまとめ役の方を紹介していただいて,生態学会からも有志で声明に加わることにしました.幸いにもこの提案をjeconetで流したところ,わずか半日で50名近い方の賛同をいただきました.

朝,メールを見たら,これに関連して25日の事業仕分け会場に若手の有志が集まってマスメディア向けに意見を表明する旨のプレスリリース(!)が届きました.私は行けませんが,少しでも国民のみなさんに若手研究者の声が届くよう,微力ながらお手伝いさせていただきたいと思います.

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