2009年11月20日金曜日

事業仕分けへの意見2(女性研究者支援)

Twitterやここで「女性研究者支援へのパブコメが少ない」という情報が流れていたので,急きょコメントをしたためて送りました.文章が荒っぽくて,おまけに一点ロジックが通らない部分があるのですが,鍵となる主張にはさほど影響しません.むしろ,多くの声が届くことが必要なのだと思います.一応,ここで公開します.

行政刷新会議担当
副大臣  中川正春 様
政務官  後藤 斎 様

行政刷新会議仕分け対象事業のうち,事業番号39:科学技術振興調整費(女性研究者支援システム改革)について意見を提出します.

標記事業につきましては,「予算要求の縮減(1/3程度)」という評価がなされましたが,私は科学技術振興政策においてもとりわけ女性研究者支援については緊縮財政課下においても優先的に予算を配分すべきであると考えます.それは来るべき高齢社会においては労働人口の低下は避けられず,科学技術分野への女性の参画を加速することが不可欠であるからです.

第3期科学技術基本計画において,女性研究者の採用割合を「自然科学系全体として25%(理学系20%、工学系15%、農学系30%、保健系30%)」とする数値目標が設定されましたが,現状では研究者に占める女性の割合は全体でわずか13%程度にすぎません.

数値目標はおおむね新規に博士号を取得した女性の割合を基準に設定されているため,目標と現実の差は優秀な女性が科学技術業界から流出していることを意味しています.このギャップを埋めることは,次世代を担う科学者の育成において急務であると言えます.

公表されている評価者のコメントを読む限り,女性研究者への生活支援は認めるものの,以下のように研究費への支援を「過大」「逆差別」と考えておられる委員が多いように思えます.

  • 「保育所の設置に限定するなら良いが、研究費は余分」
  • 「女性研究者に過大な補助金を与えるのは逆差別になりかねない」
  • 「支援は重要だ。研究費をつけるという支援の仕方はいけない」

私は研究費等の支援を「過大」とは考えません.研究者の評価基準のうちの重要な要素が研究費の獲得額である現状を踏まえば,女性研究者へ優先的に研究費を配分することは,より高い職位への女性の登用を促し,長期的に女性研究者全体の割合の向上へつながります.

女性への研究費等の支援が「逆差別」ということは,事例のレベルではあるかも知れません.しかし,そもそも学位取得者に対して女性の常勤的な研究職への登用が少ないこと,より高い職位への登用が少ないことを考えれば,全体として女性の立場が低いことは明らかです.

以上の理由から私は,研究者育成政策において積極的な女性研究者への支援が不可欠であり,急務であると主張します.


富田 基史

東北大学大学院農学研究科
日本学術振興会特別研究員(DC)

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