2009年11月17日火曜日

「日本の林業の問題点」って言われても・・・

先日,民間企業で働いている大学時代の友人から「日本の林業の問題点が平易に分かる入門書や資料集ないかなぁ」というメールが来ました.

日本の林業が抱える様々な問題については,私のみならず多くの心ある森林研究者が憂いでいるところです.しかし,それらの論点が簡潔にまとめられている本って言われても,具体的な書名が思い浮かびません.

学部のときに森林政策学に関連する授業をいくつか履修していたのですが,教科書を買ったことがなく,ほとんどが先生の手作りの資料やテキストでした.中にはA4で100ページ近くになるものもあり,授業のためだけによくこんなものを作ったなぁと感心してしまうものもありました.

結局,手元にあった本の中で友人の要望にこたえられそうなものは,林野庁が毎年出している森林・林業白書―低炭素社会を創る森林〈平成21年版〉だけでした.

これで日本の林業が抱えている問題点がきちんと理解できるのかは不明ですが,挿絵がたくさんあって,大きな字・簡潔な日本語で書かれていることだけは間違いありません.中学生でも楽に読めます.

私の勉強不足なのかもしれませんが,日本の林業が非常に多くの問題を抱えている状況において,林業の問題点を総合的に論じた本がないというのは,ある意味日本の森林学会の怠慢と言えるのかも知れません.どうかこれが私の無知による誤解であることを,祈りたいと思います.

私自身は自分が出来る範囲で日本の林業が抱えている問題点を他の研究者と共有する機会を持ちたいと考えています.来年の森林学会大会では,「環境変化と樹木の保全」と題した小さい国際ワークショップを開催します.講演者は少ないですが,日本の森林学会に向けて少しでも問題提起をしていきたいと思っています.

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