2009年7月31日金曜日

また高校生と

今日も東北大学のオープンキャンパスへ行って,高校生相手に研究紹介をしてきました.

昨日は全体的に高校生の反応がよくなかったので,今日は話をする前に学年とかどういうことに興味を持っているのかをまず聞いてみて,それに応じて話の内容を変えることにしました.

それではじめて分かったのですが,今回のオープンキャンパスには地元のみならず近隣の県の高校から,かなりの数の1年生が参加していました.どうやら最近は,進路指導の一環で1年生のうちから大学を見学させて,早いうちから受験する大学・学部を考えさせるようです.

こちらは主に受験を控えた3年生がたくさん来るだろうと思って準備をしていたので,これは意外でした.昨日の日記で,最近は「自分が勉強したいことのイメージを持っていない高校生が多くなった」と書いたのですが,どうもこれは高校生の進路に対する意識が低いのではなく,むしろ私たちの時代よりも高校生が情報収集をするタイミングが早くなったためでした.

中学校を卒業してまだ半年しか経っていない生徒さんに「どういうことに興味を持っているの?」と聞いても答えられないわけです.ちょっと安心しました.

ただ,今回私は自分の進路に対して漠然としたイメージを持ちはじめた高校3年生を想定して話を準備をしたのですが,これでは中学校を出て間もない1年生にはかなり難しかったでしょう.もし来年以降に人出不足でオープンキャンパスの準備を担当することになったら,まだ知識が十分でない1年生でも興味を持ってもらえるように配慮をしなければいけないと,改めて思いました.

2009年7月30日木曜日

高校生と

今日は東北大学のオープンキャンパス初日でした.

うちの研究室が所属している学科では毎年,各研究室が研究内容を紹介するポスターを2枚と研究に関連する簡単な展示をすることになっています.今年は阿部さんがすばらしいポスターと種子のコレクションを用意してくれたので,例年よりも準備が楽で助かりました.やはり持つべきものは,頼れる先輩です.

さて,肝心の高校生の反応はというと,阿部さんが提供してくれた種子コレクションのウケはとてもよかったのですが,研究内容を短時間で簡潔に説明して,興味を持ってもらうのは難しかったなと感じました.まだまだ修行が足りないようです.

ところで,今日一日高校生たちと話をしてみて,私が高校生だった時よりも大学で自分が勉強したいことのイメージを持っていない高校生が多くなったなと感じました.もちろん高校生が大学のことについて考えること自体無理なのですが,農学部を受験しようと考えているなら,食糧問題・環境問題とかあるいはバイオテクノロジー関連といった具合に(たとえそれが的外れであっても)何かしら漠然とした興味を持っているのが普通だろうと思っていました.

幸いなことに東北大学の農学部は,入学時ではなく2年次に進級する段階で学科を選択するシステムになっているので,入学してからいろいろなものを1年間学びながら進路を決めることができます.なので,高校生の段階で何も考えていなくてもとくに支障はありません.

ですが,高校生の段階でいろいろなことに関心を持つことは,入学してから実際に自分の進路を決めたり,さらには情報に対する感受性を磨く上でも有益です.むしろ高校生の段階で何も考えてこなかった学生さんが入学してから1年のうちにどれだけのことを吸収して,それをもとに自分の進路を考えられるのか,少しだけ不安を感じました.

しかし,ブログに「いまどきの高校生は…」ということを書くこと自体,年をとってしまったなとしみじみ感じます….

2009年7月29日水曜日

リスとの攻防

今日は早池峰山のアカエゾマツ孤立個体群へ行ってきました.4年ぶりにアカエゾマツがまとまって開花したという情報を受けて急きょ様子を見に行ったのですが,下から見上げただけではどれくらい開花しているのかまではよく分かりませんでした.

それでも,何本かの木の根元にはリスが未成熟の球果を喰い散らかした跡が残っていて,それなりに結実が期待できそうだということは分かりました.秋に採取するサンプルが減ってしまうのは気がかりですが,とりあえずこれで今年の秋もいくらかはデータがとれそうで一安心です.

それにしても,どうしてリスは成熟する前に球果を食べてしまうのでしょうか.それは多分,アカエゾマツをはじめとするトウヒの類は受精直後から球果が肥大し始めて,この時期にはもう種子が成熟したものと同じくらいの大きさになっているからだと思います.むしろリスにしてみれば,未熟でやわらかい今の時期のほうが食べごろなのかも知れませんね.

しかし,貴重なサンプルを食べられてしまったほうは,このまま指をくわえて見ているわけにはいきません.そこでこちらは,リスが誤って落としてした食べられていない球果を拾い集めることにしました.この時期に落ちた球果の種子が成熟することはありませんが,中の胚はまだ生きています.これを解析することで,発生の初期段階と後期段階における近交弱勢の強さをそれぞれ推定できればいいかなと,漠然と考えています.

調査はいつもよりもだいぶ早く,3時前には終わりました.心配していた雨も大したことなく,久しぶりに山を歩けていいリフレッシュになりました.やはり生態学者はたまにはフィールドにでなきゃダメですね.

2009年7月28日火曜日

調査の前に

先週末に共同研究者の方から,早池峰山のアカエゾマツが開花したとの知らせをいただいたので,明日は急きょ調査地まで行くことになりました.今年はフィールド調査をする予定がなく油断していたので,明日の準備に手間取っています.何かまた忘れものをしそうで,心配です.

明日は開花状況の下見ということなので,調査地の見回りとサンプリングの段取りの相談になるかと思います.なので,体力的にキツイ仕事にはならないと思うのですが,午後から雨の予報が出ているのは気がかりです.どうか,あまり激しい雨にならないことを祈るばかりです.

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ところで,このブログに移ってから日記を書く頻度がやや減りました.理由は,従来の散漫なスタイルをやめて,他の人に見せることを意識した文章を書こうとするあまり,日常の些細な出来事を書きづらくなったからです.

あわせて,ここでレビューしたい時事ネタや本もいくつかあるのですが,今週は忙しくてまとまった時間がとれませんでした.週末までにはレビューを一つくらいは書きたいと思っています.

2009年7月25日土曜日

情報量規準を学ぶ

昨日・一昨日は,統計数理研究所で開かれた公開講座「赤池情報量規準と統計モデリング-実際の野外生物データからの入門-」に参加してきました.

赤池情報量規準(AIC)は統計モデルの良さに関する指標で,「AIC = -2 x (最大対数尤度) + 2 x (パラメータ数)」という式で定義されます.この値が小さいほどよいモデルであるということで,複数の候補からもっともよいモデルを選ぶときなどに使われます.このように定義がシンプルで使い方が簡単なことから,生態学でも多くの人がこの規準を使っているようです.

ところが,シンプルな定義の一方で,AICの数学的な側面はかなり複雑で,生態学の研究者が独力で教科書を読んで理解することはかなり難しいです.

簡単な最尤推定をするだけなら,天下り的にAICを使うだけでも十分なのかも知れません.しかし,ベイズ統計などの最尤法の枠組みを超えた統計手法を使う場合,AIC以外にもいくつかの情報量規準を使うことがあります.それらはいずれも異なる考え方のもとに提唱されているので,どれを選ぶべきなのか判断するためには情報量規準についての基本的な理解を持っていることが必要でしょう.

そういうわけで,もっとも広く使われているAICの数学的な背景をごく簡単に勉強できた今回の公開講座は,有意義なものだったと思います.今後は時間を作って,自分でも教科書を読んで勉強したいものです.

2009年7月22日水曜日

遠方より・・・

昨日はいきなり地元の友人が遊びに来たので,一緒にごはんを食べてお酒を飲みました.ちょうど酒屋さんの店頭に伯楽星の火入れ酒が並び始めたので,奮発して純米吟醸の一升瓶を買って,うちの部屋で2人で飲みました.おかげで今日は2時間ほど遅刻です.

しかし,遊びに来るなら休日とか,平日でもせめて数日前に言ってほしいものですね.

2009年7月20日月曜日

トキの本州飛来に思う

今日の夜,新潟の実家にいる父から「うちの近所にトキが来てて,今日は姿を見れたよ!!」という,とてもうれしそうなメールが来ました.ただ,生態学とは縁のない父には申し訳ないのですが,佐渡島に放鳥されたトキが本州に飛来してその地元が騒いでいるニュースを聞くたびに,少し残念な気持ちになります.

佐渡島では「およそ10年後(2015年頃)に小佐渡東部に60羽」(※平成16年1月29日付の計画)のトキが定着することを目指して何年もかけて水田の環境整備などの自然再生事業に取り組んでおり,その一環として昨年の9月25日に10羽が試験的に放鳥されました.そして残念ながら,今年は放鳥した5羽のメスがすべて本州に渡ってしまい,野外での繁殖はできませんでした.今年は昨年の倍にあたる20羽を放鳥して,佐渡での群れの形成と繁殖を試みるということなので,少しでもその試みがうまくいくこと,あるいは本当に野生復帰が可能なのかという判断をするためのデータが蓄積していくことを期待したいと思います.

ところで,本州に飛来した5羽がすべてメスだったことから,トキはメス分散ということなります.また,佐渡島に近い新潟県だけでなく,富山県や宮城県などでも姿が目撃されていることなら,単独でもかなり高い分散能力を持っていることが分かります.これらはトキを佐渡島に定着させることがいかに難しいかを物語っています.

本州に飛来したメスは繁殖に参加することなく,いずれ死ぬことになるでしょう.今年はメスを少し多めに放つ予定ということなので,今年の冬から来年にかけてまた何羽かのトキを本州で見ることができ,さらに多くの人を喜ばせることになると思います.しかし,その中でトキを放鳥した経緯や彼らの末路について考えたことがある人は果たしてどれいくらいいるのでしょうか.

うちの近くでトキを見かけたら,たぶん私も父のように興奮していろんな人に自慢するとは思います.しかし,少なくとも富山県黒部市のように自治体が飛来したトキに住民票を発行するというような浮かれた気持にはならないと思います.

本州に飛来するトキは,動物園のパンダのようなアイドルでも地方自治体のアピール材料でも決してありません.その背景には,トキの野生復帰と自然再生に向けたさまざまな議論・葛藤・努力,そしてトキを野生復帰させることのむずかしさがあります.彼らはいわば,それらの一連の問題の当事者であり象徴であるわけです.(その他にも本当にいろいろドロドロした問題があるのでしょうが,ここでは触れないことにします)

どうか,本州に飛来したトキを見かけた人は「珍しいものを見た」という感想だけでなく,彼らの野生復帰や自然再生について少しでも思いをはせて欲しいものです.夕方のローカルニュースでもちょっとくらいは触れて欲しいですね.

結婚式とその他もろもろ

昨日,大阪にて行われた大学時代の友人の結婚式に参加してきました.新郎新婦ともに大学時代の仲の良い友人でお互いの出会いから近くにいたので,感慨はひとしおでした.一緒に参加した大学の友人一同,挙式の時点から早くも涙です(笑).

披露宴では他の友人と3人で,スピーチをしました.新郎新婦の涙あり笑いありのエピソードを出席者のみなさんに紹介したのが,とてもウケました.新婦からは退場するときに開口一番,「あなたたちは大変なことをしてくれましたね」と言われてしまいました.明日,彼らが無事に出勤して仕事ができるか,少しだけ心配ですね.

それから行われた2次会では,久しぶりに会う友人・知人たちと楽しいひと時を過ごしました.披露宴ですでに満腹で,出された料理にほとんど手をつけられなかったのだけが心残りです.3次会は新郎新婦と少数の友人でゆっくり飲みながら,大学時代の思い出話に花が咲きました.皆には,たくさんお腹を触られました.

今回,卒業以来はじめて仲の良かった友人が集まったのですが,あらためて自分は大学時代にもいい友人に恵まれたと思いました.今度集まれるのはいつになるか分かりませんが,こういう付き合いを大事にしたいものです.

ちなみに一昨日は大阪に着いてからヒマを持て余していた出席者の友人の一人と飲みに行くことにしました.当初,梅田で待ち合わせていたのですが,お互い大阪駅周辺をまったく分かってなくて飲み屋さんを見つけられなかったので,なんと道頓堀まで行くことになりました.道頓堀でもなかなかいいお店が見つからず,あれこれ歩きまわって,最終的には法善寺通りのこじんまりとしたおでん屋さんに入ることにしました.ちょっと高かったのですが,美味しくて仕事も丁寧で,2人とも大満足でした.

2009年7月18日土曜日

大阪へ

昨晩,ご祝儀袋の表書きを何人かの方に見せたところ,「字のバランスが悪い」とか「名前がでかすぎ」とか言われたあげく,「自分でいいと思ってるならこれでもいいじゃないですか?」と,いろいろな酷評をいただいたので,結局また書きなおすことにしました.結婚式とかに使うご祝儀袋は,名前を書くところだけが別の短冊になっているので,いくらでもやり直しが効くのがいいですね.

何人かの方が丁寧に指導してくれたので,なんとか書くことができました.本当はまだ納得していないのですが,上を目指すとキリがないので,このへんで終わりにしたいと思います.

これからスピーチ原稿の最終チェックをして,それから急いで荷造りして仙台空港です.

2009年7月17日金曜日

週末にむけて

日曜に大阪で大学時代の友人の結婚式があるので,今日は仕事の合間にいろいろ準備をしています.

今回は他の友人2人と一緒にスピーチを一緒に頼まれているので,早朝は皆が送ってくれた草稿をとりまとめて編集する作業をしていました.3人分の原稿をつなげた時点で4400字もあって,これはいくらなんでも時間内に収まらないだろうと,まず内容を削る作業をしました.いずれのエピソードもすばらしくてどれを削るかとても迷ったのですが,最終的には3800字くらいには抑えることができました.これを3人で10分以内に話せばいいので,あとは練習するだけです.

スピーチと同じくらい悩ましいのが,ご祝儀袋の表書きです.日本人として恥ずかしい限りなのですが,私は縦書きの文字を書くのがとても苦手です.特に毛筆の字など,とても人に見せられません.しかし,ここはやはり自分で書きたいので,とにかく練習をすることにしました.下の写真がその成果です.本番の字もちょっとバランスが悪いのですが,そこらへんは後で微調整しました.あとは,なくさないようにこれを会場まで持って行くだけです.

日中はちょっと抜け出して,髪を切ってきました.ちょうどテレビで所さんの「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」の再放送がながれてて,その中で「日本列島 結婚式の旅」という企画が放送されていました.さて,うちらもあれくらいうまくやれるだろうか,ちょっと緊張してきました.

明日は昼過ぎの飛行機で大阪入りです.大阪は高校のときに一度行ったっきりなので,とても楽しみです.ただ,給料日前であまり遊ぶ余裕がないのが残念です.

2009年7月16日木曜日

ブログに移りました

2005年5月から約4年間,自分のウェブページ(http://motoshi.tk/)でWeb日記をつけていたのですが,このたびようやく重い腰をあげてブログに移行することに決めました.

理由はいろいろあるのですが,Wikiよりもブログのほうがコメントやトラックバック,アフィリエイト,RSS/Atomフィードなどの機能が簡単に使えるというのが一番の理由です.これまではPukiWikiを使っていたのですが,本体やプラグインのメンテナンスが滞っていて,新しい仕様に対応できなくなることがありました(Amazonのアフィリエイトはそれで諦めました).

自分にもっと技術と時間があれば,全部自分で作ったほうが楽しいのでしょうが,こういうのは出来合いのものを使うのが一番です.事実,今のブログはすごく使いやすくて,しかも柔軟にカスタマイズできるので,とても感動しています.

というわけで,これからもいろいろ記事を充実させていきたいと思いますので,よろしくお願いします.