2009年7月29日水曜日

リスとの攻防

今日は早池峰山のアカエゾマツ孤立個体群へ行ってきました.4年ぶりにアカエゾマツがまとまって開花したという情報を受けて急きょ様子を見に行ったのですが,下から見上げただけではどれくらい開花しているのかまではよく分かりませんでした.

それでも,何本かの木の根元にはリスが未成熟の球果を喰い散らかした跡が残っていて,それなりに結実が期待できそうだということは分かりました.秋に採取するサンプルが減ってしまうのは気がかりですが,とりあえずこれで今年の秋もいくらかはデータがとれそうで一安心です.

それにしても,どうしてリスは成熟する前に球果を食べてしまうのでしょうか.それは多分,アカエゾマツをはじめとするトウヒの類は受精直後から球果が肥大し始めて,この時期にはもう種子が成熟したものと同じくらいの大きさになっているからだと思います.むしろリスにしてみれば,未熟でやわらかい今の時期のほうが食べごろなのかも知れませんね.

しかし,貴重なサンプルを食べられてしまったほうは,このまま指をくわえて見ているわけにはいきません.そこでこちらは,リスが誤って落としてした食べられていない球果を拾い集めることにしました.この時期に落ちた球果の種子が成熟することはありませんが,中の胚はまだ生きています.これを解析することで,発生の初期段階と後期段階における近交弱勢の強さをそれぞれ推定できればいいかなと,漠然と考えています.

調査はいつもよりもだいぶ早く,3時前には終わりました.心配していた雨も大したことなく,久しぶりに山を歩けていいリフレッシュになりました.やはり生態学者はたまにはフィールドにでなきゃダメですね.

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