北大の久保さんが翻訳されたRグラフィックス ―Rで思いどおりのグラフを作図するために―が,ついに刊行されたようです.機会をみて発注しようと思っていたら献本いただいので,ここで紹介したいと思います.
この本は,2005年に刊行されたR Graphics (Computer Science and Data Analysis)の和訳で,久保さんがあとがきで述べているようにRの作図機能の解説としてはもっとも詳しい本です.
生態学の分野ではRがかなり普及してきて,論文や学会発表でRで描いたと思しき図を見ることが普通になりつつあります.Rには非常に強力な作図機能があって,それらを使いこなせばかなり凝った図が描くことができます.しかし,それなりの図を書くためにはそれなりの知識が必要なので,ほとんどの人はイマイチな図に甘んじるか,Rからデータをエクスポートして他の作図ソフトを使っているのではないでしょうか.
この本はRはある程度使えるけれど,デフォルトのイマイチな図しか描いたことがないというレベルの人にちょうどよい本だと思います.私自身,卒論を書いていた2005年の冬に原著を買って,常に側に置いて辞書的に使っていました.
内容はR本体の作図機能(traditional)に加えて,強力な作図パッケージであるlatticeとgridの詳細な解説になっています.特に後半のgridの解説はとても充実しています.それぞれの章はかなりくわしく解説されているため頭から読んで勉強するにはしんどいと思うのですが,ぱらぱら読んでみて必要なところだけを辞書的に使うようにすればよいのではないかと思います.
ちなみに私自身は,R本体だけで図を作るのではなく,Postscriptで出力してからIllustratorで加工することが最近は多いのですが,それでもこの本は手放せません.
ついでに言うと,原著は9,000円前後とかなり高価ですが,訳本は装丁が簡単なのでその半値くらいで買えます.ありがたいことです.
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