2009年12月24日木曜日

里山・里海って・・・?

しばらく更新が滞っていました.21~23日までの3日間は,仙台で開催された日本における里山・里海のサブ・グローバル評価(里山里海SGA)の会議を,生態適応GCOEのツテで手伝わせてもらいました.

里山里海SGAとは,国連が提唱して2001~2005年に行われたミレニアム生態系評価(MA)の続きとして,日本の里山・里海を対象に生物多様性と生態系サービスの評価を行おうという計画で,2010年10月に名古屋で行われる生物多様性条約COP10での公表が予定されています.

手伝い人の私がこの会議の内容に言及するのはあまりよくないので,差し障りのない範囲で感想を述べたいと思います.

SGAは基本的にMA-SGAの枠組みを踏襲するので,この報告書では里山・里海の現状と傾向・対応の評価・将来のシナリオの,大きく分けて3つの要素について評価が行われる予定です.来年のCBD/COP10でのレポートの公表を控えているということで今回の会議では,これまでに国レベルの専門家が評価した結果とその枠組について,議論が行われました.里山・里海の現状と傾向の部分ではさらに,里山・里海の定義・生態系サービスの変化の現状と要因…などなどについて,かなり突っ込んだ議論が行われました.

この会議の議論をずっと聞いていて思い浮かんだのが,里山・里海って何なのだろうという素朴な疑問です.「里山」という単語をから私が思い浮かべるのは,新潟(特に上・中越地方)の山村地域のような,タケノコ・山菜が採れる山があって,田んぼがあって,あまり大きくない川があって,池があって…,というイメージです.これがいわば,私のなかの「里山」の原風景なのでしょう.一方,「里海」というのは聞き慣れない言葉ですが,強いてあげるとすれば磯とか小さな漁村とかがあるような風景でしょうか.具体的には,新潟の山北町の海岸線のイメージですね.

ところが,様々な議論を聞くなかで,人間が関わっているという点では共通しているものの,空間的な広がり・そこに含まれる要素・機能など,里山・里海の定義・解釈がきわめて多様であるということに驚きました.最終的にここで議論された結果がどう位置づけられていくかは,来年10月のCBD/COP10以降です.今後も注目していきたいと思います.

もう一つ興味深かったのが,里山里海SGAをどうやって日本国外に向けて発信していくかという議論でした.これについても目からウロコな重要な議論がいくつもありました.これもやはり,CBD/COP10以降の動向が気になります.

3日間の会議の半分くらいは,各章ごとに執筆者と関係者の分科会が行われました.私もとある分科会をお手伝いしつつ議論を聞いていたのですが,なかなか楽しい議論でした.この議論を踏まえて最終的に発行されるレポートがどうなるか,楽しみです.

まだまだ書きたいことがたくさんあるのですが,それらは来年10月のCBD/COP10までのお楽しみ,ということで.

会議が終わった後は,この会議に共同議長・専門家として国連環境計画(UNEP)から来られた2人のゲストを連れて,鳴子温泉に行きました.ここでもいろいろ興味深い話を聞かせてもらいました.話の内容と英語についていくのが大変だったのですが,いい経験をさせてもらいました.

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